紅蓮

□二章
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「いつまで寝てんの?相棒はとっくに起きてるんだけど」
「んー、あと30分…」
「…きみさ、居候の分際で随分と図々しいよね」
「まだアラーム鳴ってないし。今日は土方さんボイスで起きるんだからぁ。沖田さんは黙ってて…沖田さんだとぉ?!」

がばっと飛び起きると、何故か目の前に意地の悪い笑みを浮かべた沖田さんが居た。

「おはよう、やっと起きた?」
「沖田さんが、おきた…っ、くっくっくっ」
「気持ち悪い笑いとか止めてよ」
「酷、気持ち悪い言うなっ!つうか…」

私は改めて今の状況を考えて、赤面した。

「どうして女の子の寝室に無断で入ってんの!乙女の寝顔を見るなんて、犯罪だよ、犯罪っ」
「乙女、ねぇ…」

あ、ものすごっ訝しげな顔になった。

「煩いなぁ、女の子は幾つになっても乙女なんだい」
「どうでもいいけど。それより、朝食の時間だよ。早く支度してくれる?」
「え、もうそんな時間?分かった、着替える」

私は寝間着に手を掛けて、着替えを始め……って!

「いつまで其処に居るの!さっさと出て行けっ」

嫌がる彼を無理やり追い出して、今度こそ着替えを開始した。

「お待たせ。行こうか」
「…ちょっと待って。何、それ」
「何って、原田さんの着流しだけど」
「違う。着方のこと言ってんの。よれよれになってるし。もしかして、一人で着るの初めて?」
「あー…つうか、着物自体が初めてかな。成人式の日も結局スーツだったし」
「…はぁー」

沖田さんは溜め息を吐いて、私の着物を脱がせはじめた。
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