紅に染まる世界
□8.
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「お姉ちゃん…もう人を殺しちゃダメだよ」
あの子は、あたしの手を握って言った。
「どうして?これは生きる為に必要なことだ」
「違うよ。憎しみは憎しみしか生まない」
今にも泣き出しそうな瞳。
あたしはその眼をまっすぐ見れなくて俯いた。
「骸さんが助けてくれる。だから、お姉ちゃんはこれ以上罪を重ねないで」
「ありがとう、心配してくれてるんだな。でも、あたしは大丈夫だから」
この力があれば、絶対に負けない。
たとえ敵と刺し違えてでも、この子…灯弥だけは護ってみせる…。
そう、思ってた。
絶対に護りぬける自信があった。
なのに。
「お姉ちゃん、僕は幸せだったよ。だから今度は自分の幸せを願って」
「灯…弥…」
「ありがとう。僕の大好きな…お姉ちゃん…」
「あ、いや…いやぁぁぁぁ!!!」