紅に染まる世界
□3.
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「ん…」
眠ってたら、何かが顔をぺちぺち叩くような感触がした。
いぶかしく思い目を開けてみると…
「何だ、テメェ」
「ぐぴゃっ?!」
牛みたいな子供があたしを覗き込んでいた。
「こ、この土管はランボさんの秘密基地だもんね!」
「ンなこと知るか。此処は今日からあたしの家だ」
「ランボさんが先に見つけたんだもんね!」
「五月蝿いガキは嫌いなんだけど」
あたしが眼光を鋭くさせると、子供の目に涙が溜まっていく。
「が、ま、ん…できないー!うわーん!!」
泣きだした子供は、もじゃもじゃした頭の中からバズーカを取り出した。
「…っ!あんた、ヒットマンか?!」
臨戦態勢を取るあたしに対して、その子供はというと…
「じ、自分を撃った?!」
土管の中に煙が満ちる。
これじゃ何も見えない…!
「やれやれ。一体、こんな狭い場所で何をしてたんだ」
男特有の低い声。
あたしは再び臨戦態勢を取った。
「ん、あなたは…」
男はあたしの姿を確認するや否や、突然あたしを抱きしめた。
「会いたかった、悠さん」
「な…っ、何しやがる、この変態ヤロー!!!」
「がはっ」
あたしは男を突き飛ばして、土管から出た。