月と七人の王子様

□13 戸惑い
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「姉さん。寿司が食べたい」

恭弥のその一言がきっかけで、今あたし達は山本の実家・竹寿司に来ている。


「ねぇ、恭弥君。なんだか見えてはいけない物が見える気がする」
「…気のせいだよ」
「あの…、大将。聞きたいことがあるんですが」
「どうした、嬢ちゃん。おじさんが知ってることなら何でも答えてやるぜ!」
「あの職人さん、やけに前髪長いですけど周り見えてるんですか?そして、どうして王冠を付けてるんですか?つうか、あいつベルフェゴールですよね?!」

あたしが叫ぶと、ヤツはにやりと口角を上げた。

「うししっ、生意気女じゃん」
「あんた、確かイタリアに帰ったはずじゃ」
「お前を護りたいから残った」
「…え」

今、何て。
あたしを護りたい…?
ベルフェゴールが、あたしを?!

「この少年、なかなかの腕前だぜ。ナイフ遣いに関しちゃ、プロと言ってもいい」

…うん、プロだからね。
ただし、殺し屋だけど。
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