月と七人の王子様

□X dream
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何も無い、真っ白な空間。
上下左右も、自分が立っているかすらも分からない。

此処に来るのは、二度目だ。


「おやおや。迷い込んでしまったようですね」
「カミサマ?」
「僕が神、ですか。クフフ、面白いことを言う」
「…!!」

何処からか霧が現れて、人の姿を形作っていく。
霧が晴れた時、其処に居たのは…


「きみは…」
「初めまして。僕は六道骸」
「あたしは…華奈」

骸は人当たりの良さそうな笑顔を浮かべた。
きっと、みんなこれに騙されるんだよね。

「不思議ですね。初めて会ったはずなのに、ずっと前からあなたを知ってる気がします」
「…その口説き文句は古いと思う」
「おや、口説き文句とは心外だな。僕は思ったことを言ったまでですよ」

どうだか…。
更に突っ込むのも面倒だから、あたしはふーんと相槌を打った。


「華奈さん、今なにか悩んでいますね?」
「あはは、初対面の人に指摘されるなんて思ってなかった。うん、確かに悩んでるよ」
「僕なら、そんな思いはさせない」
「へ?」
「黒曜にあなたの居場所をご用意しますよ」
「…っ」

心の中を見透かしたような骸の笑みに、あたしは背筋が寒くなった。
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