月と七人の王子様

□V この世界の「あたし」
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「あ…っ」

やばいやばいやばい!!
心臓がドキドキいってる。
このままじゃ萌え死ぬ!

「なに変な声出してるの。姉さん、もしかして僕を誘ってる?」
「め、滅相もございません」

あたしの膝の上に頭を乗せて怪しく笑う雲雀。


どうしてこんな状況に陥ってるかというと。
それは、数分前に遡る。





「まぁ、いいや。とにかく家に入ろう」

あたしの腕を引いて、豪邸に入ろうとする雲雀。
ちょ…此処、お前の家か!!

「待って、雲雀さん。たぶん人違いしてる。あたし、きみのお姉さんじゃないよ」
「本気で言ってるの?華奈…」

雲雀は寂しそうな顔であたしを見る。
やめて、そんな顔しないでくれっ。

「分かった。記憶を失ってるんでしょ」
「……は?」
「忘れてるのなら、思い出させてあげる。もう…逃がさないよ」
「雲雀、さん?」

彼はあたしの腕を掴んだまま、無言で歩き出した。


そして、冒頭に至る。

つうか部屋に入った途端に膝枕せがむとか、やめてくれないか。
可愛すぎるじゃないか。
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