月と七人の王子様

□U 現状把握
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「ん…」

気がつくと、あたしはふかふかのベッドに寝かされていた。

「気分はどうだ?気を失っちまうなんて、よっぽど怖かったんだな」
「…っ」

あたしの顔を覗き込む人物は、好きな漫画のキャラで。
嬉しい反面どうして自分の目の前にこの人が居るのか理解できなくて、頭が混乱する。

「あの、此処は…?」
「俺の家だ」
「そう、ですか。…あ」

あたしはむくっと起き上がって、頭を下げた。

「お、おい…」
「助けていただいてありがとうございました!あたし、高橋凛です」

彼は驚いた顔をしたけど、すぐに微笑んであたしの頭を撫でた。

「俺はディーノだ。なぁ、高橋って、あの高橋か?」
「え?」
「噂で聞いたことがある。日本の裏社会を取り仕切るマフィア、高橋ファミリー。お前、そこの関係者なのか?」

いや、初耳ですけど。
あたしの両親は普通に会社員だし。

「あたしは別の高橋です。ていうかディーノさん、マフィアに詳しいですね」
「ま、まぁな。長いことイタリアに住んでりゃ詳しくもなるさ」
「そういうもんですかねぇ」

あたしはツッコミたい気持ちを抑えて、ふーんと首を傾げた。
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