はんぶんの月
□四章
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「はぁー・・・」
あたしは縁側に座り、煎餅を頬張っていた。
「あ、庵さん!おはようございます」
「・・・・・」
「庵さん?」
「え?あ、山崎。どうしたの?」
「いえ、ただ挨拶しただけなんですけど・・・」
「そっか。おはよう、山崎」
「あの・・・どこか具合でも悪いんですか?最近、元気が無いように見えますけど」
「そう?気のせいだよ」
あははと笑うと、山崎は心配そうな眼差しを送ってきた。
別に平気なのにな。
「おい、庵」
「なに、総悟」
「お前・・・っ、やっぱ何でもねェ」
「はぁ?何それ、気持ち悪いんだけど」
「お前、最近なんか疲れてねェか?」
「あんたまで、何。別にあたしは普段どおりだってば」
総悟にまで心配されるなんて、あたしよっぽど元気無く見えるのかな。
ていうか、総悟がこんな態度取ると気持ち悪い。
「お前さ・・・桂のヤローのこと、どう思ってンだ?」
「どう、って・・・」
あたしは、この間のことを思い出した。
危ないところを桂に助けられて、そして・・・
キス、されたんだよね。