はんぶんの月
□ニ章
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見合い当日。
あたしの心とは裏腹に、天気は快晴。
「よかったな、庵ちゃん。絶好の見合い日和じゃねぇか」
「・・・・・」
松平のおやじの呑気な声を聞くと、無性に腹が立つ。
あたしだって、別に好きで見合いなんかするわけじゃない。
兄の顔を立てる為、仕方無くだもん。
「庵、怖い。顔怖いから」
「だって・・・」
囁く兄を、あたしは軽く睨んだ。
「とりあえず、相手の前では笑っててくれよ?」
「・・・分かった」
渋々頷くあたしの頭を、兄の大きな手が撫でた。
・・・ほら、また子供扱い。
いつだってそうだ。
そりゃ、頭撫でられるのは嫌いじゃないけど。
でも、時々は女として見てほしいと思う。
今日の見合いだって、ぶっ壊してほしいと願ってるんだよ・・・。