短編

□A snowy girl
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この町にも、久しぶりに雪が降った。

「うー、寒い。」

学校からの帰り道。
マフラーを首に巻き、手をコートのポケットに入れて歩きながら、神也は呟く。

朝方の冷え込みも酷かったが、夕方の冷え込みもなかなかだ。
お昼は日差しが出て暖かかったが、既に太陽は姿を消し、群青色へと空は変わっている。

寒いから、さっさと帰ってコタツに潜ろうと考えていた時、白狐の白真がいる稲荷神社から、幼い女の子の声がした。

白真が、参拝に来た少女に悪戯をしてるのかと思い、稲荷神社の中に入る。
悪戯をしてるのなら、懲らしめなければ。

彼の予想は外れた。
白真は悪戯などせず、少女と雪遊びをしている。

境内の隅には、二人で作ったであろう雪だるまが置いてあった。

ポカーンと口を開けて立っている神也に、白真が気付いた。

「おー、神也じゃんか。二日ぶりだなー。」

「だーれ?」

少女が雪玉を丸めながら、白真に聞く。
白真は「あいつか?」と言いながら、直立して胸を張りながら神也を紹介した。

「オイラがめちゃくちゃ尊敬してる空狐、葛葉様の孫だ。」

少女は目をキラキラと輝かせながら、白真の話を聞く。





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