短編

□子狐、白真
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最近、一人ぼっちだった。

「一人ってのも暇だなー。」

くわーと、大きな欠伸をした後に、白真は言う。
真っ白な毛を持ち、銀色の目をした子狐。
体の大きさは、成長した猫と同じくらいだろうか。
のんびり陽向ぼっこでもしようと、稲荷神社の屋根に上り、体を丸めて寝る体勢に入る。

白真は、この神社の白狐だ。
白狐は幸せを運ぶ狐の神で、時に天気も司る。

子狐でも立派な神。

まだまだ成長途中で半人前の神だが、千歳越えれば天狐に、三千歳越えれば空狐になる。

先はまだ長いが、白真はいつかなれる日を楽しみにしていた。
そして、ある人物と再会する日も……。


白真がその人に会ったのは、此処に神社が建てられてから一年目を迎えた日。
綺麗な銀髪を持ち、古代中国の女性が着ていた中国服を着る女性が突然現れ、現在のように陽向ぼっこをしている白真を見つけた。
白真と同じ、銀色の目を持っていた。

「おいおい、そこの子狐君。ちゃんと仕事はしているかい?」

「むぁ……?」

ぼけーっとしながら、白真は女性を見る。

女性はクスリと笑みを零し、白真の背中を毛並みに沿って撫でた。
子狐だからか、毛並みはふわふわとして触り心地が良い。





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