倉庫

□創作
3ページ/5ページ


俺は、高校二年の男子学生だ。
この学年には、マドンナと呼ばれている女生徒がいる。

生まれ持った黒い髪は真っ直ぐで、腰の辺りまで伸び、身長も女子の平均身長を余裕に超えている。
祖父が神主をしているせいか、礼儀も正しく、誰もが憧れ、嫉妬する存在だ。

マドンナは綺麗だと思うが、俺には上手く扱えない。
寧ろ、尻に敷かれると思う。
否、絶対に敷かれる。

そんな俺は今、学校の昇降口で、緊張しながら立っていた。
理由は、片思いをしている女生徒と一緒に帰る為。
そして、告白をする為。
今まで、何度も先延ばしにしていたが、今日こそ告白してやる。

そう意気込み、彼女に送ったメールの内容を読み返す。
彼女は中学の同級生で、マドンナと同じ文芸部だ。
因みに、俺はパソコン部。

間違った漢字は送ってない。
文章も大丈夫だ。
一度、一緒に帰った事があるから、今回も大丈夫なはず。

そろそろ、文芸部が終わる時間だ。
ふーっと自分を落ち着かせるように大きく息を吐く。
その時、背後から携帯を取られる。
驚いて後ろを振り返ると、にたりと笑ったマドンナが、そこに立っていた。

「マ……っ!?」

マドンナーっ!?

「へー、なーるほどー。君、香弥(カヤ)の事好きなんだー。」

にたにたと笑いながら、マドンナは言う。
普段、良い顔しか見てないせいか、かなり意地悪く見えた。

俺はマドンナから携帯を奪い取り、後ずさる。
それを追うように、マドンナが前進した。

「な、なんなんだよ!マドンナには、関係ないだろ!」

「関係あるね。香弥は私の友達だもの。ねぇ君……。」

マドンナが俺の左頬に右手を添え、左手は携帯を持っていた右手を掴む。
右の耳元に口を近づけ、囁いた。

「告白……、手伝ってあげようか?」




end
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ