倉庫

□五教科擬人化
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『秋』

道に敷かれた木の葉の絨毯を踏み締める音がする。

銀杏の並木道は、今では黄色に染まり、アスファルトの色は消えていた。
空からは、絶えず銀杏の葉が舞い、地面に落ち、絨毯の一部になっていた。

瑛と共に買い物に出ていた史津は、隣を歩いていた瑛が立ち止まるのを感じた。

「どうした?」

一歩前に出ていた史津は、振り返りながら言う。
瑛は立ち止まったまま、並木道の向こう側を見ていた。
あちらは、大通りの筈だ。

史津の視線の先を見ると、焼き芋の車が止まっていた。
車には、小さい子達が親と共にいて、焼き芋を買って貰っている。
焼き芋を手にした子は満面の笑みを浮かべ、ぎゅっと焼き芋の入った袋を抱いた。

「いいなー。」

ぽつりと瑛は言う。
焼き芋を食べたいと、顔に書いてあった。

食べたいと言わないのは、瑛なりに我慢してるのだろう。

史津は微笑を浮かべ、口を開いた。

「焼き芋食べたい?」

「別に。」

「食べようよ。奢ってあげるから。」

そう言って、焼き芋の売っている車へと近付く。

焼き芋を手にした瑛の顔は、小さい子達と同じ満面の笑みだった。

「温かいね。」




end
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