倉庫
□五教科擬人化
2ページ/3ページ
『微熱』
「36度9分、微熱だね。暫く寝てたら?」
体温計を見ながら、瑛(アキラ)は言う。
社会の勉強のし過ぎで、微熱を出した史津(シヅ)は、「一生の不覚」と呟き、ベッドに横になった。
「勉強頑張りすぎなんだよ、史津は。」
「社会は、日々変わってるんだ。勉強しないと、世間に追い付けないよ。
歴史も変わってるし。」
「そうだけど……。あっ、タオル湿らせて来るね。」
タオルを濡らしに、瑛は洗面台へ向かう。
史津は息を吐いた後、目を閉じた。
少しして、額に冷たいタオルが乗せられる。
冷たくて気持ちいいなと思いながら、史津は何のタオルを使ったのか確認する為、額から取る。
目に入ったのは、洗濯機の濡れた箇所を拭く雑巾だった。
「瑛……。」
「何?史津ー。」
勉強をしていた瑛が顔を上げ、史津を見る。
史津は雑巾を差し出しながら、口を開いた。
「これ、雑巾。」
「え!?」
「今、取り替えて来るー。」と言って、瑛は再度タオルを濡らしに行く。
史津は「慣れないことはさせるもんじゃない。」と、静かに口にした。
end