倉庫
□携帯擬人化
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『マスターとメール』
それは、マスターが旦那と一緒に暮らす前の事。
寧ろ、付き合ってから少ししてからの事。
携帯の俺をじっと見た後、マスターはため息を吐いて、定位置……卓上の充電器に俺を置く。
壁側のベッドの柵の上に、壁に立て掛けて置かれた箱ティッシュの上。
そこが、俺と充電器の定位置だ。
箱ティッシュの上から、俺はマスターを見る。
どうして、そんなに悲しい顔をしてるの?
マスター、最近変だよ。
旦那と付き合い始めてから、マスターがどんどんおかしくなっている。
俺を見てはため息。
ため息を吐いては、また俺を見る。
マスターはきっと、旦那からのメールを待っているんだろう。
メールは来ていない。
センターにもない。
マスターがため息ばかり吐くから、俺もため息を吐きたくなる、吐けないけど。
そう思った矢先、センターにメールが届く。
センターを通って、俺にメールが届けられた。
ああ、このメールは……。
マスター、マスター。
もう、悲しい顔しなくていいよ。
だって……。
旦那専用のメール着信音が鳴る。
画面には、旦那の名前。
それを見たマスターの顔が、一気に明るくなった。
end