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□創作の国
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 会議の始まりを知らせる鈴が、会場に響いた。

「皆さん、お静かに。会議を始めますよ」

 髷を結った、いかにも厳しそうなおばさん議長が、マイクを使って言う。
 議長の正面には、長机と椅子が並べられ、国の動物達が書類を片手に席に着いていた。

「皆さん揃ったようなので、創作会議を始めます。まずは、来月の新作発表会について」

「はい」

「はい」

 ネクタイを巻いたペンギンが手を上げ、一瞬遅れてスカーフを巻いたアザラシが手を上げる。
 議長は二人を交互に見た後、ペンギンを指名した。

「では、ファンタジー部門。お願いします」

「はい!うっうん、えー次の発表会では、私どもが企画するファンタジーを推薦します。ここ数ヶ月は和風物が続きましたゆえ、ここらで雰囲気を変えるべきです!ドヤァ!」

 ペンギンが決めポーズの腹ばいを机上で決めて、言い切る。
 その発言を聞き、アザラシが椅子の上でジャンプをしながら、議長にアピールをした。

「異議あり!」

「SF部門、どうぞ」

「はい!ファンタジー部門はここ数ヶ月は和風物が続いたと言いましたが、和風と言っても内容は和風ファンタジーです。対するSF部門は全くと言っていい程、数がありません。ファンタジーばかり採用するのは、公平ではありません!よって今ここに、SF部門の力入れを提案します!ドダァ!」

 アザラシも机上で腹ばいになり、議長にアピールする。

「異議あり!和風ファンタジーとファンタジーは雰囲気が違います!第一、SFはとにかく金と時間がかかります!ここは、直ぐ撮影に入れるファンタジーにすべきです!」

「何を言う!SFだって直ぐ撮影に入れるし、資金だって集まっている!勝手な言動は慎んでもらいたい!」

「何を!?」

「やんのかコラァ!」

 腹ばい状態で両者が睨み合う。
 この二人の言い合いは会議の恒例行事なので、他の部門代表や議長は、大きなため息を吐いた。

「創作館館長ノベル。発表会選考委員長として何か意見はございますか?」

 議長は、少し離れた場所に座り、優雅にお茶を飲んでいる青年に意見を求めた。
 赤と黒の縦縞の帽子に、赤いタキシード。
 帽子から覗く赤い髪は癖があり、目はサングラスで隠れている。

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