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◇ ◇ ◇
『あなたは、どうして魔女になろうと思ったの?』
魔法学校で、唯一答えられなかった、質問だった。
◇ ◇ ◇
迷いに迷った結果、リリーはアシュレイの任務を手伝う事にしました。
元々、正義感の強いリリーは、任務の事を放っておけなかったのです。それに、困ってる人は誰でも助けるが、彼女の心情でもありました。
愛用の杖を、半ズボンのベルトに差し、任務用の黒いブーツと白いマント、黒い革の手袋をして待ち合わせ場所に向かいます。
羊皮紙に書いてあった待ち合わせ場所は、リリー達が住む街の外れ、橋の上と書かれてました。橋の先にある森の中で、悪魔と契約した魔女は住んでいるようです。
リリーが待ち合わせ場所の橋に着くと、彼は既に待っていて、手鏡を見ながら自分の髪の毛を弄っていました。
着ている服も、全身を包む黒いマントも、上等な物です。
キラキラとした雰囲気も、会った時と変わりません。
リリーも、服には気を使ってますが、彼と比べると自分が地味に見えて、腹立たしい気分になると同時に、惨めな気分にもなりました。
何で、私がこんな気分にならないといけないのよ。あの人が、身だしなみを過剰に気にし過ぎているだけなのに。
ムスッとした顔をして、リリーは彼に近付き、声をかけました。
「おはよう」
「やあリリー、早かったね。……どうしたんだい?ムスッとしちゃって」
無愛想な表情をするリリーを見て、アシュレイは目を丸くします。
「何でもないわよ。さっさと魔女の所に行きましょう」
そう言って、リリーは歩き出します。
胸のムカムカは、任務で晴らそう。
リリーはそう心に決めました。
一方、アシュレイはというと、リリーの後を歩きながら、無愛想な彼女の態度に首を捻るばかりでした。
「また、苛々してるのかい?会った時もそんな感じだったよね?」
「気のせーよ」
「そうかな?」
「そうよ。私の事より、任務に集中しなさいよ。相手は悪魔と契約した魔女なんでしょう?普通の魔女とは違うのよ」
「やる気満々だね」
ケラケラと笑いながら、アシュレイは言います。
その反面、驚いてもいました。
この任務にリリーを誘ったのは自分ですが、彼女が待ち合わせ場所に来るまで、絶対に来てくれると思ってなかったのです。
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