倉庫
□悪魔
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ずっと君と居たくて、永遠が欲しくて。
僕は悪魔と契約して不死の身体を手に入れた。
「僕が不死になったのだから、君も不死にならないと」
そう僕が言うと、君は悲しい顔をして、首を横に振った。
「いいえ、いいえ。私は不死にはなりたくない」
「どうして?ずっと一緒に居たいって、君も言ってたじゃないか!」
「居たいわよ!居たいけど……、人の理(コトワリ)を犯してはいけないわ」
いつかきっと、恐ろしい事が起きてしまうから。
ポロポロと、彼女の目から雫が落ちる。
彼女は両手で顔を隠し、首を振り続ける。
僕は、想像していた答えと反対の答えを言った彼女に絶望し、頭の中が真っ白になってしまった。
絶望の縁から這い上がって、気付いた時には彼女は居なかった。
彼女の代わりにあった、龍のウロコで包まれた身体と、鋭い爪、肉を引きちぎる牙、空を羽ばたく羽根。
まるで、契約した悪魔のような姿。
薄れていく意識の中で、ケタケタと笑う悪魔の声が聞こえた。
「モーラッタ」
ああ、不死になるって、こういう事だったのか。
「手に入れた永遠に、君は居ない」
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