蝶の王子様
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◇ ◇ ◇
『直ぐ、帰って来るからね』
そう言って、母はお城の人達と一緒に、お城へと向かった。
直ぐ帰って来ると言った母。
お城に行ってから、半年が経とうとしていた。
「母を連れ去った王族なんて、大嫌い!」
◇ ◇ ◇
体験学習から帰って来たカエンの息子ユドンは、非常に困惑していた。
家に帰って見れば、見慣れない少年がいる。
父に誰だと問えば、知り合いの息子だと返され、力を扱う特訓をして欲しいと頼まれた。
何故、俺が。
自分でやれば良いではないか、軍の隊長なんだから。
『軍の隊長だから忙しい。よろしく頼んだぞ、ユドン』
ニコニコと笑みを浮かべ、期待した顔されては断れない。
学習で疲れているが、学校が始まる前にある程度進めて欲しいと言われ、直ぐ特訓を始めた。
クウラはユドンに連れられ、リビングに面している中庭に出る。
初めは、大きな力は出ないから、ここで大丈夫なのだそうだ。
「暴走とか、あるんじゃ?」
「暴走しても大丈夫。この家には、父さんの結界が張ってあるから。まあ、どこの家も、家族を守る為に、一番力を持ってる家族が張ってるんだけど」
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