蝶の王子様

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 二人の話など興味ないのか、ぼーっとしながら窓の外を見ている。
 窓の外は、島にある森が広がっていて、時折鳥の鳴き声が聞こえた。
 この14年間、サトラはずっとこの調子だった。
 ケイラが幾ら声を掛けても、反応がない。
 其処にいるのにいないようで、生きている人形みたいだ。

「もう会議が始まるよ」とアヤキが言い、先に部屋を出る。
 しばらくサトラを見た後、ケイラも部屋を後にした。
 しんと、部屋に静寂が戻る。
 サトラは窓から森を眺めたまま。
 その時、森の中から黒いマントで身を包んだ男が現れる。
 クウラをこの世界に連れてきた張本人だ。
 男は窓の近くまで伸びてる枝に移動し、中を覗く。
 男はじっとサトラを見ながら、口を開いた。

「可哀想に、あんな男に目をつけられて。こんな部屋に、閉じ込められて」

 男の声に、サトラがピクリと反応する。
 先程まで聞いていた声と同じ声。
 でも、何処か違う。
 サトラは焦点を男に合わし、男も被っていたマントのフードを脱いだ。
 所々跳ねている赤茶髪に、たれ目気味の水色の瞳。
 先程までいたケイラと、瓜二つの顔をしていた。

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