蝶の王子様
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「……二人だけか?」
「二人だけですよ、ケイラ様」
「俺達以外に誰がいるよ」
二人に言われ、ケイラは渋々「そうか」と納得する。
幼少の頃から一緒にいる二人だから、とりあえず信じてみようという感じだ。
三人のやり取りを、クウラは茂みの隙間から見やる。
カエンが上手い具合にクウラの前に立っていて、ケイラの姿はよく見えない。
声を聞く限り、危険な人物に見えないのだが、隠す必要があるのだろうか。
「まあ、いいや。だが、嘘だとわかった時は覚悟しとけよ」
「わかってるって。なっ、カエン」
「あ、ああ」
◆ ◆ ◆
カエンに連れられ、クウラは守皇島の商店街を歩く。
ケイラとコウランは城に戻ると言って、共に森を後にした。
カエンが言うに、守皇島は島国で各国よりは平和だが、国王ケイラと王妃アヤキが独裁政治をしているそうだ。
税金は、先代の王よりも高く取られ、国民の暮らしは貧相。一生懸命働いて稼いでも、直ぐ税金として巻き上げられる。そして、王妃のアヤキに使われる。
小さい商店街だが、何軒か店が閉まっているのをクウラは見た。
「昔は、もっと豊かで賑やかな国だったんですよ」
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