蝶の王子様
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金曜日の朝。
朝の生徒会の集まりを終えたレオンは、息を切らして教室に居るクウラの所に現れた。
「クウラ大変だ!」
「うるさいなー朝から。……どうした?」
眠たそうに欠伸をし、どうせくだらない事だろうと思っていたクウラだが、あわあわと落ち着きのないレオンを見て、目を剣呑に細める。
レオンのこの様子は、ただ事ではないな。
朝は静かに過ごしたいのだが、今日はそうもいかないらしい。
話しづらい事なのか、レオンは口を開いたり閉じたりして、言葉を発するのを迷っている。
クウラは席を立ち、話しやすいようにレオンを廊下に誘った。
「どうした?また5年生絡みか?」
廊下の隅に向かい合って立ち、質問をする。
ふるふると、レオンは首を横に振った。
少なくとも、5年生絡みではないようだ。
「じゃあ、何だよ?」
クウラに言うよう睨まれ、レオンは意を決したようで、やっと口を開いた。
「さっき、生徒会の集まりに行ったら、カイラ先生が来て、クウラを生徒会に入れるから連れてこいって」
「な……っ!」
想像もしていなかった話を聞かされ、クウラは目を見開く。
レオンもこれには大層驚き、困っているようで、目をキョロキョロと動かしたりと、落ち着きがなかった。
「冗談だろう?なんで成績優秀でもない、ましてや王族関係者でもない僕が入らないといけないんだ?」
「わかんない。とりあえず、生徒会室来てよ。先生待ってるから」
戸惑いながらも、二人は小走りで生徒会室に向かう。
中に入ると、それはそれは恐ろしい雰囲気を垂れ流したカイラがいた。
怒りに任せて、人を殺してしまいそうな状態だ。
初めて見るカイラの怒りにレオンは萎縮し、クウラはここに来たことを後悔する。
そんな二人の様子を無視して、カイラは扉の正面にある窓に背を預け、腕を組みながら口を開いた。
「レオンから話は聞いてるね?」
「はい、先生。でも……僕はこの国に来たばかりで、生徒会に入る資格はありません」
辞退させてくれと、クウラは懇願する。が、カイラは首を縦に振らなかった。
「上が決めた事だ。辞退は認められない」
「でも、」
「王の命令だ!」
言い募ろうとしたクウラの声を遮るように、言い放った。
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