蝶の王子様

□24
1ページ/2ページ


 金曜日の朝。
 朝の生徒会の集まりを終えたレオンは、息を切らして教室に居るクウラの所に現れた。

「クウラ大変だ!」

「うるさいなー朝から。……どうした?」

 眠たそうに欠伸をし、どうせくだらない事だろうと思っていたクウラだが、あわあわと落ち着きのないレオンを見て、目を剣呑に細める。
 レオンのこの様子は、ただ事ではないな。
 朝は静かに過ごしたいのだが、今日はそうもいかないらしい。
 話しづらい事なのか、レオンは口を開いたり閉じたりして、言葉を発するのを迷っている。
 クウラは席を立ち、話しやすいようにレオンを廊下に誘った。

「どうした?また5年生絡みか?」

 廊下の隅に向かい合って立ち、質問をする。
 ふるふると、レオンは首を横に振った。
 少なくとも、5年生絡みではないようだ。

「じゃあ、何だよ?」

 クウラに言うよう睨まれ、レオンは意を決したようで、やっと口を開いた。

「さっき、生徒会の集まりに行ったら、カイラ先生が来て、クウラを生徒会に入れるから連れてこいって」

「な……っ!」

 想像もしていなかった話を聞かされ、クウラは目を見開く。
 レオンもこれには大層驚き、困っているようで、目をキョロキョロと動かしたりと、落ち着きがなかった。

「冗談だろう?なんで成績優秀でもない、ましてや王族関係者でもない僕が入らないといけないんだ?」

「わかんない。とりあえず、生徒会室来てよ。先生待ってるから」

 戸惑いながらも、二人は小走りで生徒会室に向かう。
 中に入ると、それはそれは恐ろしい雰囲気を垂れ流したカイラがいた。
 怒りに任せて、人を殺してしまいそうな状態だ。
 初めて見るカイラの怒りにレオンは萎縮し、クウラはここに来たことを後悔する。
 そんな二人の様子を無視して、カイラは扉の正面にある窓に背を預け、腕を組みながら口を開いた。

「レオンから話は聞いてるね?」

「はい、先生。でも……僕はこの国に来たばかりで、生徒会に入る資格はありません」

 辞退させてくれと、クウラは懇願する。が、カイラは首を縦に振らなかった。

「上が決めた事だ。辞退は認められない」

「でも、」

「王の命令だ!」

 言い募ろうとしたクウラの声を遮るように、言い放った。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ