蝶の王子様
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「カイラ先生は、前妻の息子さんだからだ!その人は、俺達が生まれる前に亡くなってる!」
「別の人かも知れないじゃない!」
結局、二人の言い争いは、休み時間が終わるまで続いたのだった。
◆ ◆ ◆
レオンとサクラの事を除けば、その日も無事に終わる事が出来た。
レオンは、今日の放課後も生徒会だから、先に帰って良いとクウラに告げた。
今週に入って、何回目だろうか。
「最近、忙しそうだな」
「今度の日曜日、城に生徒会が呼ばれてるんだ。その準備に追われてて……」
意外な事を言われ、クウラは驚いた表情を浮かべる。
授業参観が近付いているので、その事で働いているのかと思っていたのだ。
それを言うと、レオンは「それもある」と、胸を張って、言葉を返した。
「生徒会は学期に一回、王様と女王様に会って、生徒の要望を伝えるんだ。この学校の支援をしてるのが王様だからね。教師の採用も、王様が面接をして決めてるみたいだし。生徒会メンバーも、最終的には王様が決めてるって噂だよ」
「それって……」
クウラの言おうとしている言葉が分かったのか、レオンは寂しそうな悲しそうな表情をして、その先を続けた。
「これも一つの、独裁政治だよね」
小さいうちから、王様と女王様は凄いんだと植え付け、学校には王様のお気に入りを配属して、反乱分子があれば、学校にいるうちから叩き直す。
城の人間に近ければ近いほど、王様がどんな人物か分かるが、他の人間はそうはいかず、流れる情報だけが頼り。
城で働く人の中にも反乱を起こしたい人は居るが、昔の二の舞を恐れ、踏み出せずに居る。
王様は強い、全てにおいて。
女王様も同等の力を持っている。
寧ろ、女王様の方が強いのではないだろうか。
「生活は苦しいけど、家族を殺されないだけマシだ」
「気をつけて帰れよ」と言い残して、レオンは生徒会室に向かう為、生徒が行き交う廊下に消える。
クウラも荷物を確認してから、教室を出た。
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