蝶の王子様

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 翌日から、クウラの暮らしが一変した。
 まず、自分の能力を制御するという授業で、今まで紙飛行機一つ浮かせられなかったのだが、今日は風を使って浮かす事が出来た。
 他に、手のひらサイズの竜巻も作る事が出来、休み時間にレオンの竜巻とぶつけ合い、どちらが強いか競った。
 次に、カイラと学校で会う機会が増えた。
 以前は、授業以外で会うことは少なかったのだが、現在は移動教室の度に廊下で会う。
 僕を見張ってるのか。それとも、別の理由か。
 カイラはクウラの無事な姿を確認すると、直ぐどこかに行くのでまだ耐えられる。
 問題は、他の生徒。
 事情を知らない生徒から好奇な目で見られ、わざわざ教室まで見に来る他学年の生徒が現れた。
 この髪の色のせいで王様を思い出すのか、王族に恨みのある人間は殺気のこもった目をして睨んでくる。
 サクラも、その一人だ。
 席が直ぐ後ろなので、睨んでるというか、見られているのがよく分かる。
 視線を感じて振り向けばそっぽを向かれ、黒板に視線を戻すと、また後ろから視線を感じる。
 野次馬に遠巻きから見られるのには慣れたが、これは慣れられるものじゃない。
 寧ろ、不愉快。気が狂いそう。

 そんな事が何日も続き、そろそろ我慢も限界に達しようとしたある日。
 クウラよりも先に、レオンがサクラにキレた。

「髪の色が王様と一緒だからって、クウラを睨むなよッ!そんな事したって、お前の父さんは戻って来ないし、母さんも帰って来ないぞ!」

「睨んじゃ悪い!人の親殺した子供を睨んじゃ悪い!」

「ああ、悪いね!親のした事は子供には関係ないし、子供が殺したわけじゃない!そんなの、ただの八つ当たりだ!それに、クウラは王様の子供じゃないよ!」

「どこに、その証拠があるのよ!」

「目だ!」

 ビシッと、クウラの目を指差す。
 二人の間で言い合いを聞いていたクウラは、とても面倒くさそうな表情をしていた。
 不愉快だった気持ちも、すっかり萎えてしまい、正直な気持ちどうでもいい。
 早く終わらないかなと、クウラは思うが、怒りで周りが見えなくなっている二人に、その思いが届くはずが無く、願い虚しく、二人の話は続いた。

「見ろ!金色だ!水色でも黒でもない!」

「カイラ先生は、金色だわ!」

 確かにと、クウラは同意する。
 王様の実子カイラは、目も髪も金色だ。
 二人の色素ではない。

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