蝶の王子様

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 近くでクウラの様子を見ていたエンジュは、目を見開く。
 金色の雷に包まれたクウラから、水色の光が溢れ始めているのだ。
 ざわざわと、二人を取り巻く空気が変わる。
 そして、クウラから風が放たれ、エンジュは仲間の方へと吹き飛ばされる。
 その場にいた全員が、今のクウラを見て驚いた。
 真っ黒だった髪が、今では赤茶色に変わっている。
 目は金色。
 溢れ出る力は、この国の頂点に君臨する人物と同じだった。


 ◆  ◆  ◆


 会議が終わり、それと同時にカイラは屋上の異変に気付く。
 職員室を飛び出し、屋上に向かう。
 屋上へと続く階段を駆け上がり、ガラクタの山を越え、扉の前に居るサクラを見つけた。
 サクラはカイラを見るなり、びくりと体を震わす。
 とうとう教師に……それも厳しいと噂のカイラに見つかってしまった。
 すっかり固まってしまったサクラに、カイラは「退いて」と言って、彼女を退かす。
 重たい扉を開けると、複数の生徒の声が屋上に響いた。


 ◆  ◆  ◆


「すんませんでしたー!」

 エンジュを筆頭とする5年生が、クウラに向かって土下座をする。
 追い払う気満々だったクウラは、拍子抜けしてしまった。

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