蝶の王子様
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昇降口は校舎の左端にある。
そこに一番近い階段の下には、清掃用具や換えの電球、脚立など、細々とした物が仕舞われている倉庫があった。
用の無い生徒は滅多に倉庫に行かない。
ひそひそ話をするには、もってこいの場所でもある。
いつもの様に、クウラがその階段を下りていると、倉庫の方から話し声が聞こえた。
この声は、エンジュと共にちょっかいを出してくる５年生のものだ。
下校時間なので、この階段を利用する生徒はまだ大勢いる。
が、皆自分のお喋りに夢中になっていて気付いていない。
生徒の出す音で、話し声がかき消される。
なんとか聞けた内容は、エンジュが屋上に向かい、誰かを呼び出したというもの。
５年生が、呼び出した生徒の名前を言ったみたいだが、足音にかき消される。
倉庫に居た５年生は、しばらく話し込んだ後、昇降口の方へと移動した。
クウラは階段で立ち止まったまま、天井を見上げる。
屋上は立ち入り禁止と校則に書いてあった。
立ち入りがバレたら、厳しい罰則もあると聞く。
エンジュは何故屋上に向かったのか。を呼び出したのか。
頭に浮かんだのは、レオンだった。
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