蝶の王子様
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エンジュに連れられて来た場所は、校舎の外れにある使われていない教室。
昔は、教室が余る事など無かったのだが、今は子供の数が少ない為、少人数授業を導入しても、どうしても余ってしまうのだ。
使われていない教室は、不良達のアジトに使われやすい。
この学校も例外では無い。
レオンが教室の中に入ると、エンジュの仲間が5人居る。
全員5年生で、親が城で働いている生徒ばかりだ。
エンジュは教卓の上に座り、閉められた扉の前に立つレオンを見下ろす。
親玉の周りに仲間達が集まり、ニヤニヤと笑いながらレオンを舐めるように見た。
「何か用ですか?」
毅然とした態度で、レオンは言う。
仲間の一人が感心したように口笛を吹き、仲間の笑いがニヤニヤからクスクスに変わった。
エンジュが「そう笑ってやるな」と、仲間達に言う。
そんな彼も、馬鹿にしたような笑みを浮かべていた。
「放課後さー、あの転入生を屋上に連れてこい。下らない争いにも疲れたし、そろそろ決着(ケリ)つけようじゃねーか。お前もそう思うだろう?レオン」
「屋上にか?」
確かに、レオンもそろそろ決着をつけようと考えていた。
恐らく、クウラも同じだろう。
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