蝶の王子様

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 学校に通い始めて、1ヶ月が経過した。
 始業式後の授業は、総合やLHRが中心だったが、今は通常授業に戻っている。
 なんでもない、どこにでもある学校生活。
 変わらない、日常。

「クウラー、校庭でサッカーやろうぜー!」

 お昼休み、サッカーボール片手に、いつの間にか友人になったレオンが誘う。
 クウラは「やだ」と返したが、「やだ却下」と返された。

「来ないと、次の時間使う教科書返さないゾ」

 ニコニコと笑みを浮かべ、レオンはクウラの用意した教科書を奪う。
 それを持ったまま、彼は高等部のグラウンドへ駆け出した。

「あっ!ちょっと待てコラァ!」

 慌てて、クウラがノートと筆箱を片手に後を追う。
 結局、外に出ることになってしまった。
 高等部のグラウンドは、校舎の裏に有り、城からは見えない。
 そのグラウンドで、レオンと数人の男子がサッカーをしている。
 クウラは参加せず、朝礼台に座って教科書を読んでいた。
 サッカーが出来ないわけではない。
 やりたい気分じゃないからだ。

「危ない!」

 レオンの声が耳に届く。
 何かと思って顔を上げると同時に、ボールがクウラの足に当たった。

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