蝶の王子様

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「今日から、うちのクラスに転入して来たクウラ君です。みんな、仲良くしてやってくれ」

 朝のホームルームで、クウラは担任からクラスメートに紹介される。
 教卓の脇に立つクウラを、生徒達は物珍しげに見ていた。
 転入生という事もあるが、髪の色がこの国ではアヤキしかいない黒だからだろう。
 教室を見ると、茶色や金色、緑が混ざった黒など、元居た世界では校則違反になるような色ばかりだ。
 クウラは教卓を前にする列の、前から二番目に座るよう言われ、移動する。
 彼の後ろはサクラだ。
 生徒の顔をよく見ていなかったクウラは、配られたプリントを後ろに渡す時に気付いた。
 思えば、彼女を見るのはアヤキと会った時以来だ。
 サクラは何も言わず、黙ってプリントを受け取る。
 クウラも何も言わず、前に向き直った。


 ◆  ◆  ◆


「なあ!なあ、待てよ転入生!」

 下校しようと靴を履き替えていた時、階段の方から走って来た生徒に呼び止められる。
 同じクラスの男子、確か前に座っていた生徒だ。
 名は確か、香月レオン。
 香月一族の一人で、今年から生徒会に入ったと、朝ホームルームで担任から紹介されていた。

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