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□花言葉
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 ぴしりと一つ、白い尾を振る。
 この社に祀られている白い狐が、こじんまりとした拝殿から賽銭箱の前に立つ人物を見下ろしていた。
 年若い女が、手を合わせている。
 目を閉じて、小さく紡ぐ言葉は大祓詞だ。
 若いのに全文覚えているのか。参拝時に祓詞を紡ぎ、心を、境内を祓い清らかにするとはなかなかな逸材である。
 ふむふむと感心していると、普段お目にかかる事のない気配を察して空を見上げた。
「白真(はくま)よ……、私の大切な眷族よ……!」
 頭上の空から声が降ってくる。
 声の主は見られない。
 どうやら、言葉だけを送っているようだ。
 まあ、そうだろうなあ。なんてったって、送り主は稲荷神社の総本山にいるのだから。
「どうなされた?宇迦(うか)さま」
 送り主の宇迦之御霊神(うかのみたまのかみ)に問う。
 稲荷の社で何事かあったのか。それとも、緊急を要する事か。
 緊張した面持ちで言葉の続きを待つ。
 少しだけ間が空いてから送られてきた言葉に、白真という名の白い稲荷狐は顎を外しそうになった。
「しばらくの間、あの人間のペットになっておやりなさい」



花言葉 神の信託
花 タンポポ
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