携帯

□俺達と蜘蛛……本気で勘弁!
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誰もが寝静まった、深夜のこと。
誰もいないリビングから、話し声が聞こえる。

うとうとしていた黒影と黒斗がリビングに行ってみると、家具達が原型のまま雑談会を開いていた。

「……何してんの?」

「お。」

「おー、主人達の携帯じゃないかー。」

反応したのは、抱き枕型のあざらしくろたん。
声をかけてきたのは、テレビだ。
因みに、地デジ化済みだ。

黒影は大あくびをした後、黒斗と共にしろたんの前に座った。

「で、何してるの?」

「俺達は、夜しか喋れないからな。」

「こうして集まって、雑談会してるんだ。」

テレビと冷蔵庫が順番に言う。

「そういや、最近夜な夜なデカい蜘蛛が出歩いててさー。」

電子レンジが冷蔵庫の上に乗りながら言う。

この家は台所が狭いので、冷蔵庫の上に電子レンジを置いているのだ。

レンジの言葉に、冷蔵庫がうんうんと頷いた。

「かさかさ動いてなー、気持ち悪いのなんの。」

「確か、今ぐらいの時間だったぞ。」

電子レンジの発言に、全員口を閉じ、キョロキョロと周りを見る。

蜘蛛らしきものはいない。
ほっと息を吐いたその時だった。





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