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パチパチと、マスターは買い物のレシートとにらめっこをしながら、電卓を打つ。

横から覗いていると、今月も食費は黒字のようだ。

「よし、今月は三千円貯金出来る!着々と貯まるー、旅行代ー。」

ウキウキ気分で、残った三千円を、財布に入れていたお年玉袋に入れる。
旅行代とは、旦那と行く新婚旅行代。

塵も積もれば山となる。
お年玉袋は、お札の束で少し盛り上がっていた。

「幾ら貯まったんだ?」

「うーんと、1万8千円。」

旅行代はまだ少ないが、行く頃にはそれなりに貯まっているだろう。

旦那の会社がボーナスを出してくれれば……、ついでに、給料も上げてくれれば……、ちょっとは楽な生活になるのにな。
マスターは、今も楽だと言っていたが。

住むところがあって、食べれる物もあって、好きな事して生活してるのだから、楽な生活だろう。
これ以上、良い生活は無い。
無いのだが……。

「今月、欲しい本があと二冊も出るのよねー。今月の遊べるお金、あと千円しかないや。」

千円だけでは買えない。

その時だった。

黒斗と遊んでいた旦那が、マスターが洗い物をしに行った隙に、自分の財布から千円出す。





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