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□04
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あたふたとしていると、着ていた着物を引っ張られ、旦那の足に跨る格好をさせられる。

そして、背後からマスターの手が伸び、俺の手の上に置いた。
のし掛かられてる状態だ。

「何?」

「揉みなさい。」

言われるがまま、されるがまま、マスターが無理矢理手を動かし、旦那の腰を揉む。

あー、ゴリゴリ言ってるわーっと思った時、背中にむにゅという柔らかい感触が当たった。

びしりと、体が強張る。

これは……まさか……。

言うべきか、言うべきか、俺。
いや、ちょっと待て。
言ったら言ったで、旦那に殺されそうだ。
何されるか分からない。
でも、この状況はちょっと……。

誰かー。
誰でもいいから誰かー、助けてくれー。

この状況をどうにかしてくれー。

ぐるぐると渦巻く思考の中に、チャイムの音がなる。
マスターが出て行き、俺は旦那の背中に崩れ落ちた。

(黒影、重い……。)

(退く気力も無いです。)
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