携帯

□俺達としろたん……え?
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「カブトムシが部屋の中に居るわけないじゃない!」

「頭おかしいんじゃないの!?」と、赤斗は続ける。
黒影は「ウルサい!」と返し、自身のアンテナを手に持つ。
ゴキブリでもカブトムシでも蝉でも何でも掛かってこいというオーラを出した。

「この家に来たのが悪かったな!こっちは常日頃からマスターに鍛えられてんだ!出てこいやー!」

直後、黒い物が黒影に向かって飛ぶ。
黒影は思わず避けてしまい、黒い物は壁にくっ付いた。

赤斗は唖然としながら、黒い物と黒影を交互に見る。
そして、バシッと黒影のアンテナで彼を殴った。
その様は、あるクラブの女王みたいだった。

「あんた、何避けてんのよ!」

「痛い!痛い!」

二人がそんなやり取りをしている時、黒い物が今度は赤斗に向かう。
赤斗がそれに気付いたのは、もう直ぐ其処まで迫っている時だった。

「キャアァァァ!」

「しろたん、アターック!」

白い物が赤斗を庇い、黒い物を追い返す。

白い物の正体は、マスターが愛用している抱き枕のアザラシ、しろたんだった。

「しろたんが動いてるー!」

「まあ、携帯が人になる時代だから、良いんじゃないか。」

「良いの!?」

黒い物は体制を立て直し、再度赤斗と黒影に向かう。
が、しろたんの「ヘッドアタック」により、黒い物は倒れた。

黒影と赤斗は、恐る恐る黒い物を見る。
それは、蛾だった。

(蛾かよ!?)
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