携帯
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「口塞いで死ね黒影。」
「マスターまで!」
もう、俺の味方は旦那しかいないのか。
「お前の味方なんていねーよ。」
「冷たい!」
ギャーギャーと騒いでいると、解放された旦那がやっと車に戻って来た。
大きな溜め息を吐きながら。
溜め息も吐きたくなるか。
減点されて戻って来たのだから。
「一万五千円も取られちったよー、ちくしょー。
死ね、警察。滅べ。」
「旦那、只でさえ重い車内の空気を、これ以上重くしないで下さい。」
「無理。」
「無理じゃなくて!」
「だー、うっさいな!
気分悪いって言ってるだろうが!静かにしろ!」
噴火寸前の火山が噴火し、車内が静まる。
蛍は黙って車を出し、黒影は強制的に携帯に戻された。
(マスターの意地悪)