携帯

□02
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「口塞いで死ね黒影。」

「マスターまで!」

もう、俺の味方は旦那しかいないのか。

「お前の味方なんていねーよ。」

「冷たい!」

ギャーギャーと騒いでいると、解放された旦那がやっと車に戻って来た。
大きな溜め息を吐きながら。
溜め息も吐きたくなるか。
減点されて戻って来たのだから。

「一万五千円も取られちったよー、ちくしょー。
死ね、警察。滅べ。」

「旦那、只でさえ重い車内の空気を、これ以上重くしないで下さい。」

「無理。」

「無理じゃなくて!」

「だー、うっさいな!
気分悪いって言ってるだろうが!静かにしろ!」

噴火寸前の火山が噴火し、車内が静まる。
蛍は黙って車を出し、黒影は強制的に携帯に戻された。

(マスターの意地悪)
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