携帯

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「マスター、空気が重い。」

「そりゃあ、重くもなるわ。てか、気分悪いから話しかけるな。」

「マスター暇。」

「うっせ、しゃべんな。」

「マスター、まだ?」

「うっせ、しゃべんな。」

主のいない車内で、助手席に乗った沙羅と、後部座席に座る黒影が会話を交わす。
二人の会話を、黒斗ははらはらとしながら見守っていた。

事の発端は数十分前。
出掛けた帰りの高速で、旦那の蛍が警察に捕まってからに遡る。
内容は、ただのスピード違反。
と言っても、四キロオーバーの違反だ。

現在、旦那は警察と話をしていた。

全く、警察も余計な真似をしてくれた。
飲酒とか携帯電話の操作で取り締まれば良いものを……、と言うのはマスターの意見だ。

旦那のいない車内は、かなり空気が重かった。
窒息死しそうだ。

「何でこんな事に……、なあ黒斗。」

「ねー、ますたーかわいそう。おかねないっていってたのに。」

「ひらがなだけの台詞って読みづらいな。」

「壊れろ、黒影。」

「変換出来んの!?てか、さり気なく死ねって言ってない!?」

「さーちゃーん。こくえいにいがいじめるよー。」





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