携帯

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「マスター、マスターってば。」

「ん?」

新しいデジカメを買うため、カタログを見ていた沙羅に、黒影は話し掛ける。

沙羅はカタログから目を逸らさずに、言葉を返した。

「マジで、デジカメ買うのか?」

「うん。」

「本当に買うのか?」

「うん。」

「俺、要らないの?」

デジカメを買うと言うことは、もう携帯の写真機能を使わなくてもいいという事。
マスターがデジカメを買えば、自分の出番は減る。

要らないのと言う携帯の言葉で、やっとマスターの沙羅はカタログから彼に視線を移した。

「何言ってんの?遂にぶっ壊れたか?水でも浴びたのか?」

「違う!だってマスター、前友達と話してたじゃんか!」

携帯には撮るのに限界があるって。
デジカメの方が良いって。
デジカメなら画質も良いし、限界も携帯程無い。

声を荒げて主張する携帯に、沙羅はパチパチと瞬きをする。
暫く間を開けた後、呆れた様にフッと笑みを零し口を開いた。

「何言ってんの。あんたなんかまだマシだよ。
舞華や浅美なんか、夢の国行った時、画質悪いとか役立たずとか言ってたよ。」





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