携帯
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俺は長いことマスターといるせいか、マスターと旦那の出会いも、何があったかも知っている。
色々あったが、一番ヒヤリとしたのは、マスター達が付き合い始めて三ヶ月を迎えようとした月。
ある日、マスターが内心で本気でブチ切れて、それに対し驚き、泣いた。
涙を流して泣いたし、心の中でも泣いたのだ。
ーーーー。
事件(大袈裟な表現だ)が起きたのは、旦那が仕事を休んだ日。
マスターは仕事で、やっと終わって帰ろうとした日。
「明日、暇。暇、暇、暇。」
俺を使って、マスターは旦那と電話をする。
明日は休みだから、マスターは暇だと繰り返した。
そう言えば、マスターはどこかに行きたいと日記に書いていたな。
暇なら行けば良いのにと、俺は思う。
あっ、足がないのか。
なら、旦那に連れて行って貰えばいいのに。
その旦那の方はと言うと、マスターと違って、明日暇ではないそうだ。
『友達と遊びに行って来ます。』
は?
「また?何処に行くの?東京?」
『さあ、何処でしょう。』
「もういい。」
会社の人が来たからと言って、マスターは電話を切る。
旦那が最後に言った言葉は、「怒ってる?」
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