携帯
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ある日突然、我が家の携帯達が、『人間』になった。
「な、な、な……っ!?」
突然現れた、黒い着流しを着た黒髪の少年と、黒髪短髪の保育園児程の少女を見て、沙羅はわなわなと震える。
少年は面倒くさそうな表情を浮かべ、少女は眠そうにごしごしと目を擦った。
「よう、マスター。元気ー?」
「ますたー、ねむーい。」
話しかけてきた。
沙羅は震えたまま、二人を交互に見る。
これは一体どういう事だ。
何で、人に?
てか、どうやって人に?
一向に喋らない沙羅を見て、少年はボリボリと頭を掻く。
反応がないのはつまらない。
そういえば、マスターは確か……。
「とりゃ!」
少年は手を伸ばし、沙羅の脇腹を突っつく。
びくりと、沙羅の肩が上がり、思いっきり少年の頭を壁に叩きつけた。
「何してくれとんじゃクソガキィッ!」
「ゴフゥッ!」
壁に頭がめり込み、パラパラと破片が零れ落ちる。
少年は意識を無くし、同時に呑気な声が部屋に響いた。
「あー良い湯だった。……どうした?」
頭をふきながら、蛍は言う。
壁に頭をめり込ませた少年に、その頭を掴む沙羅、眠そうな少女。
見たことない組み合わせだ。
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