携帯

□05
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「マスター、マスター。旦那、今日から出勤だよねー?」

「新しい職場ー」と、黒影は続ける。
黒髪と黒の着流しが印象的な、17歳程の少年だ。

少年がマスターと呼んだ人は女性で、パジャマを着たまま布団の上でカリカリと落書きをしている。
名前は金城沙羅、自称主婦だ。
黒影が旦那と呼んだのは、空波蛍。
前の職場を辞め、沙羅を実家に戻し、自分も遠く離れた実家に戻り就活する日々を送っていた。
その成果が先週実り、今日から初出勤なのだ。

「旦那大丈夫だったかなー?ちゃんと仕事出来たかなー?」

「何かあったら、日記に何か書くでしょ。」

素っ気なく、沙羅は返す。
黒影は目を閉じ、自分の中にある蛍の日記のデータを辿った。
日記を見ると、今日の日付が更新されている。

「おっ、書いてあった。どれどれ。」

そう呟きながら、今日の日付を開く。
其処に書いてあったのは、思わず自主規制をかけたくなる内容だった。

「マッ、マスタァァァッ!ちょっ、これ、これ!」

「何?」

携帯型に戻った黒影は、日記の内容をマスターに見せる。





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