倉庫

□創作
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『黒猫と金魚』

赤い魚が泳いでいる。
ご主人様が飼っている『キンギョ』と言う魚だ。

ご主人様が用意した水槽の中を、右へふよふよ、左へふよふよ。
上にふよふよ、下にふよふよ。

下から見ている僕には、飛んでいるように見えた。

触ってみたくなって、手を伸ばして見る。
が、届かない。
立ち上がって棚に前足を置き、じーっと『キンギョ』を見る。

この子は僕に気付いてないのかな。
ずっと、ふよふよ泳いでる。

「ねーねー、みずのなかは、きもちいい?」

水槽越しに『キンギョ』に話し掛ける。
一瞬こっちを見た気がしたが、また泳ぎ始めてしまった。

「ちょっとー!むし、しないでよー!」

こんこんと、右の前足で水槽を叩きながら言う。
『キンギョ』はびっくりしたのか、バシャンと跳ねた。
それに僕もびっくりして、毛ががぴーんと逆立つ。
それと同時に、ご主人様の声が響いた。

「ごしゅじーんだー。」

ご主人様に駆け寄ると、わしゃわしゃと気持ちいいところを撫でられる。
お魚は好きだけど、『キンギョ』には無視されたから好きじゃない。
相手をしてくれるご主人様は大好きだ。

いつか『キンギョ』とも、仲良く出来るかな。




end
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