短編

□君は僕の太陽〜二人のシンデレラ〜
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 国一番の、壮大でかつ豪華お城。この国を治める王の城だ。
 その大広間には、優雅な曲が絶えず流れ、貴族たちや、特別に招待された国民がダンスを躍る。
 その様子を、壇上に備えられた椅子に座りながら、この国の第一王子、ホタルが見ている。
 癖のある黒い髪を持ち、普段意志の強そうな光を灯した瞳は、退屈そうに広間 を見ていた。
 肘掛けに肘を突き、偶に欠伸をする。
 無理もない、時計は夜の11時半を回っているのだ。

 今回開かれている舞踏会は、王子の婚約者を探すために開かれた。
 ホタルも、もう年頃だ。
 なのだが、全く女性と関わりを持とうとしない。それを憂いだ父親が、見つけるまで舞踏会をやると言い出したのだ。

 ホタルは大きなお世話だと思った。
 貴族の娘達は、是非自分を選べと言わんばかりに着飾り、何度も王子を見る。
中には、手を振る強者もいた。
 そんな娘達に興味すらでず、王子は目を閉じた。

 正直に言うと、結婚したい相手はいるのだ。幼いときに一度だけ出会った娘で、唯一の手掛かりは、彼女が落としていった黄色のハンカチ。
 今も、大事に持っている。
 会えたら返そうと考えているのだ。

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