蝶の王子様
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コウランはへらへらと笑いながら、クウラに目をやった。
「おや?誰だい、この子?学ラン着てるなんて珍しい」
「俺も今見つけた所だ。君、名前は?」
「クウラだよ」
カエンの質問に、クウラは答える。
直後、カエンとコウランの空気が変わった。
あんなに笑っていたコウランの顔が、驚きに満ちた物になり、カエンは真っ青になった。
「なんだと?」
「クウ……ラ……?」
二人の反応に、クウラは首を傾げる。
名前を名乗っただけで、何故そんなに顔色を変えるのか。本名を名乗るのはまずかったか。
コウランはカエンの肩を掴み、揺さぶった。
「どういう事だ、カエン!何故あの子が此処にいる!?まだ早いだろう!」
「言っただろうコウラン、俺も今見つけた。こっちも驚いてるんだ!それに、誰が導いたのか……」
「呼び戻せるのは、彼奴しかいない。お前たちがやったんじゃないのか!?」
「馬鹿言うな。するわけないだろう、あの人が……」
コウランの腕を振り払い、カエンはクウラに向き直る。
クウラは何だよと言いたげな目を返した。
「クウラ様、無事に戻って来てくれた事は嬉しいです。でも……」
早すぎますっ!
end
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