携帯

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友達が大事なのは知ってる。
マスターだってそうだ。
だから、絶対に「行かないで」と言わない。
寂しくても、いってらっしゃいと手を振る。

どこかに行きたいと思っても、マスターはギリギリまで旦那に言わない。
我が儘はいけないと、我慢する。
マスターの癖だ。
その癖に、旦那は気付いてるだろうか。
マスターの「暇」という言葉は、「何処かに行きたい」と言う言葉の裏返しだと、気付いてるだろうか。

マスターの涙は止まらない。
何度も何度も、目を擦って涙を拭っているが、また流れてくる。

旦那、今何してる?
電話かメールをすれば、返って来るだろうけど、携帯の俺は出来ない。

マスターがやれば良いのだが、旦那から来ない限り、マスターからは二度と電話もメールもしないだろう。

今のマスターの機嫌を取るのは骨が折れるぞ、旦那。

好きなものを買っても、行きたい所に連れて行っても、マスターの機嫌を直すのは難しい。


(涙、止まんない……)

(旦那、早く気付けー)
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