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□だって男の子
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歌舞鬼小屋、執行委員会。
それは、数々の校則違反をする生徒達を罰し、学校の秩序を守る委員会である。
委員長は、歌舞鬼小屋2年A組の安部伊織(アベイオリ)。鬼を祓う祓い屋の末裔で、学校最強の祓い屋である。
副委員長は、歌舞鬼小屋一の問題児、2年A組芦屋高貴(アシヤコウキ)。先祖に雷神を持ち、彼自身も雷神の力を操り、町に蔓延る不良(オニ)も黙る不良(オニ)である。
同じく副委員長は、2年A組藤原剛(フジワラツヨシ)。彼も祓い屋の末裔であり、祓い屋だ。生真面目な性格で、執行委員会一のガリ勉君。どんな雑務も器用にこなします。
そして最後のメンバーは、2年B組葉月レン(ハヅキレン)。不良の一人で、女子更衣室を盗撮した罪により、伊織から罰則を与えられたが、ひょんな事から伊織を桃娘(モモコ)さんと慕うようになり、委員会入り。委員会一のM男である。
今日は伊織の下で働く彼らの、下らない日常の物語。
◆ ◆ ◆
「やっぱ女は尻だよなー」
「何言ってんすか?高貴さん。女はやっぱ胸ですよ、むーね。あの果実に目が行かない男は男じゃないっス!」
孤児院にある高貴の部屋で、大人向けの写真集を眺めながら二人は話す。
因みにこれは院長の物で、高貴が勝手に持って来たものだ。
院長もこの事を知っていて、取り戻して注意するどころか、更に過激な物を貸す始末。
高貴がこういう写真集を見始めたと知った時は、「お前も男になったんだな」と泣いて喜び、赤飯を炊いたそうだ。
この話を高貴から聞いた二人は、「女の子の日が初めて来た女の子じゃないんだから」と、呆れた。
パラパラとページを捲りながら、二人は女の体について意見を交わす。
その横でそれを聞いていた剛は、二人を教科書で叩いた。
「真っ昼間からなんて話をしてるんですか!?今日は中間試験の勉強をしに来たんでしょ!●●本ではなく、教科書とノートを開いて下さい!」
「いいじゃん、ちょっとくらいー。大掃除中に漫画を見つけて読むのと一緒だよー」
「そう言いながら、剛さんも見たいんでしょー?●●●●の●●な姿をー」
ニシシと笑いながら、レンが●●●●の●●な姿が写っているページを剛に見せた。
「見ませんよ!そんな破廉恥なもの!さあ、勉強しますよ勉強!」
「じゃあ、保体からやろうか。範囲は月●と夢●だっけ?」
「違いますよ、高貴さん。月●と妊娠の仕組みです!」
「全然違うわァァァッ!」
大体、保体は一年までだってーの!
そう突っ込みを入れると、二人は捨てられた子犬のような目を剛に向けた。
「そんな目をしても駄目です!」
「執行委員の権力使って、範囲に入れちゃおうか?」
「おっ、いいっすねー高貴さん。俺、協力しますよ!」
「え?」
「よし!そうと決まれば、性教育の重要性を書いて、教師に渡そう。参考資料にこの写真集も使って」
「え?いや待っ」
「意見文を書くために、参考資料を見まくりますか!あのビデオとか、DVDとか!」
「ちょっと二人共、」
「おおそうだな!レン、院長の部屋行って取ってこい!」
「二人共!」
『何だよ!?』
二人同時に、邪魔をして来る剛に顔を向ける。
剛はガクガクと震えて、扉を指差していた。
首を傾げて、二人は扉を見る。
そして、びしりと固まった。
「ちゃんと勉強をしているかと思って様子を見に来てみれば……、楽しそうだな三人共」
高貴と同じく、孤児院で暮らす伊織が、ハエ叩きを片手に仁王立ちしながら、静かな口調で言う。
静かだが、怖い。
額には青筋が浮かび、握っているハエ叩きは、ミシミシと音を立てている。
あわあわと慌てながら、高貴が口を開いた。
「い……伊織……ちゃん?」
「芦屋高貴、藤原剛、葉月レン。ア●ルト写真集を見た罪で、ケツハエ叩きの刑に処する!」
「ケツバッドじゃなくて?」
「ケツハエ叩きだ。貴重な体験、有り難く思えよ?」
ガクガクと剛は震え、高貴はそろりそろりと、窓に向かって移動する。
レンは久しぶりのお仕置きを想像して、興奮していた。
「まずは高貴!お前からだァァァッ!」
「エエェェエェエッ!レンじゃねーの!?」
「お前からと言ったらお前からだ!さあ、尻を出せ尻を!大人の女が見せてるんだ!お前も見せれるだろ!」
「俺、痔だから無理!」
「嘘吐くなァァァッ!」
腐れ外道でごめんあそばせー!
アァァァッー!
その日、高貴の部屋から悲鳴が絶え間なく、外に漏れたという。
end
あとがき
蒼黒通信文 5月6日配信作品