ハヤテのごとく!(リク)
□全ては自分の為に…
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「お嬢ー。日曜日だからっていつまでも寝てないで、早く起きてください!」
ある家の、ある部屋の、ある扉の前で、ある1人の男が、その扉に向かって叫んでいる。
ふと、その男が自分の左手首に目をやって
「1時か…いくらお嬢でも遅すぎる!こうなれば…強行突破だ。」
そう呟くと、一度深呼吸をして、
「お嬢。入りますよ」
と言って、先ほどまで自分の声を受け止めていた扉のノブを回すと、向こう側に押しやった。
「まったく、いくらお休みだからって…。あれ、お嬢?」
周りを見渡すが、その男が探している人物はいなかったらしい。
その代わりに…
「なんだこれ…ん?俺宛か」
走り書きされた自分宛メモを見つけ、手にとって読み始める。
天の声:以下メモ文なーのよ。
こてつくんへ
今日はハヤテくんと2人でおでかけするからこてつくんはお休み。
帰るときにまたメールするね。
泉
「せめて名前くらい漢字で書いてくれてもいいのに…。まぁせっかくの休みだし、路面電車にでも乗ってくるかな。」
そんな独り言を言いながらメモをゴミ箱に丸めて投げ入れる。
「でもお嬢、大丈夫かな…。いや、大丈夫だろう。何て言ったって綾崎が一緒なんだ。万が一も…」
しかし男がそこまで言うと、その部屋の時が1分ほど止まった。
…いや、正確に言うと、男の動きが止まったのだが。
「綾崎と一緒だとぉぉぉ!」
瀬川家の今日一番の怒号が響いた瞬間である。