*本*FF*
□*嫉妬
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ドアを開けたそのさきに見えた光景は…
「クラウド!?」
いつものように人懐っこい表情で俺を見る。
「ねぇ、あの子が?」
ザックスの横からひょこっと現れる…綺麗な女性。…またか…
「そっ、俺のこ…」
「ただのトモダチです」
ザックスがなにかを言おうとしたが、俺は直ぐにそういった。
その女性がザックスにべったりくっつかっていて……俺じゃあ…不満なんだろうな。元からザックスはナンパ好きだったから。
「俺、今日は知り合いのとこで休ませてもらうから、あんたはその人と…せいぜい楽しめば……おやすみ!」
嫌味を含んだ言葉を発しドアが壊れるんじゃないかと言わんばかりの音を出し閉めた。俗に言う嫉妬か?…馬鹿みたいだな俺…。
知り合いなんかいるわけがない……どこか…ないかな。
一人歩いていると誰かにぶつかった。
「ご、ごめんなさいっ!!」
慌てて頭を下げると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「クラウドか?」
俺は顔を上げて相手を見上げた。
そこにはあの英雄セフィロスがいた…。
「セフィロス…さん?」
「こんな時間に…珍しいな…ザックスはなにをしているんだ…」
溜息雑じりで言い放つセフィロス。
「部屋で…女性といちゃついてます」
機嫌が悪いのか、低い声でそういう。
「いく当てあるのか?」
「………ありません」
言うが早いがセフィロスは俺を担ぐとスタスタと自室へと足を運ぶ。
「オレのとこで休むといい…」
「……はい」
素直にセフィロスの部屋へと案内された…正しくは拉致された。
セフィロスの部屋は無駄なものがなく、俺的には居心地のいいとこだった。
ソファーに座って温かい紅茶もいただいた…。
するといきなり電話を手にし喋る。
「ザックスか?…ククッ…貴様が大事にしているものをさっき拾ってな、いらないならばオレが頂くぞ?…取り返したいのならば、女癖を直せ…」
ガチャリと電話を切った…。そして俺の隣に座ると、自分も紅茶を飲む。
「また…なにかあれば、オレのとこにくるといい…宛がないのだろう?」
「あ…けど、迷惑じゃないんですか?」
「…お前なら歓迎だ……オレと話す時もあいつと話すつもりで話してくれて構わないからな」
「…有難う…ございます」
何故俺のためにこんなことをするのか…それとも…ザックスのためか?
さっきまでの苛々が吹っ飛んでいた。
「そろそろ迎えが来るぞ…またあいつが女といるならオレのとこにこい…」
「…そうする…よ。ご馳走様」
紅茶をのみ終わると廊下からドタドタと言う足音を響かせドアをおもいっきり開けヅカヅカ入ってくる。
「セフィロス!!クラウドに何をした!!」
「…ふっ、キスして何が悪い…貴様も女とするだろ?…」
俺を抱き寄せるセフィロスにザックスが更に吠える。…成る程、セフィロスの言った意味がやっと解った。
「クラウドに触るな!!てめっ…」
「…クラウドの気持ちが解ったか愚か者…」
俺を離すと立ち上がらせ、ザックスの方に行かせる。
「くっ…わぁるかったな!!邪魔したぜ!!」
「またこい…」
「ぜってぇ来させねぇ!!」
俺は素直に頷いたがザックスには見えなかったらしい。部屋からでて自室にいくと直ぐにぎゅっと抱きしめ淋しそうな声でいってきた。
「ごめんな…クラウド」
「…」
何も言わないでいると、更に言う。
「俺…クラウドとペアのピアスがほしくてさ…ピアスに詳しい人を呼んで作ってもらうことにしたんだ」
「それだけ?」
「ったりまえだろ!」
なんだ…それだけか…。安心し力を抜かす。
「でな?これがそのピアスだ」
ピアスをさずされ新しいペアのピアスを付けられた。シンプルなシルバーのピアス…ザックスとのペア。
「…許すよ…それなら」
「クラウドっ!!」
ベッドに押し倒された。…まさかとは思うけど。