SKY GIFT〜another story〜2*XS+10
「ザンアーロ、スクザスー飯だぞぉ!」
結局あの後いい名前が思い付かず、こいつらの名前はザンアーロとスクザスというなんとも可愛そうな名前になってしまった。
ちなみに、黒い方がザンアーロで、銀の方がスクザスだ。
スクアーロは平気で名前を呼んでいるが、俺は慣れるまで時間がかかりそうだ。
……まあ、スクザンなんてもんにされるよりはいいか。
「ママン、料理じょうずだね。」
ザンアーロが目を輝かせて勢いよく席につく。
「おいしそう。」
それに比べてスクザスの方は頬を赤にほんのり染めながら、静かに椅子を引いた。
カスの幼少期とは思えねぇほど静かだな。
自分の予想していたものとは明らかにかけ離れている。
あいつもガキの頃は静かで大人しい性格だったんだろうか。
俺の方もこんなに元気だった覚えはないが。
「味にうるさい奴と10年も一緒だからなぁ。」
「ふん。」
チラッとスクアーロが俺の方を横目で見ながら、朝食を並べていく。
朝食と言えど、その見栄えはなかなかのものだ。
フルーツの盛り合わせとミネストローネ、あとはクリームのコルネット、シナモンのフォッカチオ。
確かこの間はブリオッシュだったか。
俺の前にはエスプレッソコーヒーも置いてあった。
普段、朝食はコーヒーだけで済ますことが多いが、今日はガキのために手をかけたんだろうか……?
「随分豪勢だな。」
「もう11時だからなぁ。昼飯も兼ねちまったぜぇ。」
なるほど、そういうことか。
昨日はガキのことで遅くまで起きていたためか、起床したのが昼近かった。
今日はボス権限で2人とも休みにしたので、丁度良いが。
「ママン、おいしい!」
「そうかぁ。たくさん食べろなぁ!」
「ママン、おいしい。」
「ありがとなぁ、スクザス。」
じーっと、視線を感じる。
その先に目だけ向けると、スクアーロが頬杖をつきながらこちらを見ていた。
「……なんだ。」
「いや、別に……」
別にじゃねぇだろ。
なんなんだその顔は。
「おめーらはおいしいって言ってくれるのになぁ、ザンアーロ。」
「?」
なるほど、そういうことか。
ふっ、それなら俺にも考えがある。
俺はミネストローネを一口含み、机を挟んでスクアーロの方へ身を乗り出した。
「っ!!」
そのままスクアーロの唇にミネストローネを流し込む。
所謂、口移し。
「うぉー!」
「すごー……」
ガキ共は顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。
「言わなくてもわかるだろ?」
「お、お、お前なぁ!!」
「Buono.これで満足か?」
「ガキの前で何やってんだって言ってんだ!!」
スクアーロも顔を真っ赤にしている。
その顔が見れたなら今回は成功だな。
「ママン、おとなのあいさつかぁ!?」
「ザンアーロォ!!どこでそんなの覚えんだぁ!!さすがボスの子!!」
「……」
「なんだスクザス。てめぇもやってほしいのか?」
「えっ。」
「ガキで遊ぶなザンザス!!」
いつもより数倍騒がしい朝の始まりだった。
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