マジック☆ルナナルト
□2nd POP:Padparadscha crystal
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2nd POP:
Padparadscha crystal
嫌だ、俺は海の底をノロノロ這って生きたくない。
海底に積もった有機物のデトリタスを食事として蒼い海を見上げながら、ダイバーや深海魚に喰われないように逃げ続ける日々…
どうせこんな姿になるなら、もっと別のモノになりたい!
そう思った途端俺の躯は動かなくなった。
今度は何だ?
目の前に見える白い粒は米か?
って熱!
米ってこんなに熱かったのか!?
いやいや、ちょ、そんなに思い切り握られたら苦し…
「っうう〜…苦しぃ。ι」
躯をキツク縛られた様な感覚に唸りながら、俺は目を覚ました。
視界に入った白い物体に瞬いて目を開ける。
まさか俺は本当に杓文字になってしまったのか!?
「ん…ぅ……。」
また力がこもった締め付けられる感覚に、視線だけを動かす。
眠って居る金髪をアップで捉えて一瞬思考が停止した。
ち、近い!
「Σうっわぁあああぁぁああぁあ!?ι」
俺は叫んで無理矢理ナルトを押し退けると半身を起こした。
俺に突き飛ばされてベッドから落ちたナルトに荒れた呼吸を整える。
そうだ、俺は昨日この変な魔法使いに魔法を掛けられて一緒に暮らす事になったんだ。
「うぅ、いたた…。何すんの莫迦ぁ。ι」
「何すんのじゃねぇよ!テメェこそ何俺を抱き枕にして寝てやがる!?#」
「え、おはようのキスするの?」
「ちっがぁあああう!!#」
こんなハードな朝を迎えたのは流石に初めてだ。
コイツの所為で俺は深海に住み着く海鼠、家庭で使われる杓文字になった夢を見てしまった。
勿論そんな悪夢を見た俺の事情等知らないナルトは落ちた反動でぶつけた躯を擦っている。
むくりと起き上がったかと思うと、またベッドの上に転がった。
「…何だょ?未だ寝足りねぇのか?」
「鎖介朝ご飯のえっちは?」
「しねぇよ。#」
仰向けになって笑みを浮かべたナルトに即答してベッドを降りる。
充電器に差してある携帯の時刻を見ると、何時もより20分も早く起床してしまったようだ。
普段ならもう少し寝ようとか思う所だけど、ナルトが居るんじゃ寝る気も起こらない。
仕方なく俺は今から登校の支度をする事にした。