U n d e r 2
□年上のあの人。
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年上のあの人。
[114000hit☆小説]
高校に入ったら、恋人と呼べる人が出来てもおかしくないと思う。
だけど俺の場合、その恋人が女の子じゃなければ、同年代でもない。
俺の恋人は1年の時に担任だった内波鎖介先生。
同じ男だし、俺より10歳近く年も離れている。
大人で物凄く格好良いんだ。
「先生、起きてってばょ。」
俺は未だベッドで眠る鎖介先生を揺すった。
今日は日曜日。
土曜日の夜は何時も鎖介先生の住むマンションに泊まってる。
でも、本当に唯「泊まる」だけで鎖介先生とキスもしなければ、当然えっちもしない。
むしろ俺は鎖介先生に抱かれた事なんて一度もなかった。
3年も付き合ってるのに。
「もう少し寝かせてくれ…。」
そう言って鎖介先生は布団を被った。
今日は「二人で映画でも行くか」って、言ってくれたのに。
学校で一緒に居れない分、沢山話してたいのに。
鎖介先生は本当に俺の事好きなのかな?
なんだか切なくなって俯いた。
折角作った朝ご飯、一緒に食べたい。
けど、鎖介先生は何時も忙しいし、折角の休みだから寝かせてあげなきゃ駄目だょね…?
俺は瞳に溜まった涙を気付かれない様に袖で拭うと、一人キッチンに向かった。
鎖介先生の家で朝ご飯を一人で食べる。
此で何度目だろう?
数えるのも嫌で、何度目かは分からないけど、此所最近ずっとだ。
寂しくて…死んでしまいそうで…
唇を咬み締める。
「成斗。」
丁度俺がご飯を食べ終わった頃、鎖介先生が起きて来た。
未だ少し眠そうに欠伸をして、俺と向かい合わせに椅子に座る。
「先生、おはよってば。今ご飯装うから。」
「…いい。」
「え?」
「食欲ない…。」
今のは響いた。
ズキリと胸が締め付けられる。
頑張って、先生の為に一杯練習して作ったのに…。
俺は何の為に此所に居るんだろう?
もう何も分からなくて、涙が込み上げて。
辛い。
「…鎖介先生、俺……。」
「何だ?」
鎖介先生の気持ちが知りたい。
俺の事どう思ってるの?
何も言えなかった。